平成27年10月30日,弁護士会県西支部の弁護士の有志が集まって,小田原少年院と報徳更生寮を見学しました。
私は,弁護士となるための研修期間である司法修習生の時代に抽選に漏れたため,少年院等の見学をしたのは今回が初めてです。
まず,少年院についてのお話をします。それまでの私の認識では,少年院と言えば大人とは異なる少年の可塑性(変わりやすさ)に着目した少年を立ち直らせるための矯正教育施設という認識はありましたが,おおむね世間の皆さまと同様で,犯罪傾向が進んだ少年たちが入所していて,小田急線に乗っていると見える色あせた絵が塀に描いてある施設という程度の認識でした。
しかし,実際に見学に行ってみると,その認識が必ずしも正しいわけではないとわかりました。
少年院でうかがったお話しの中で大変印象的だったのは,少年院に入った少年たちが,入所して1~2ヶ月程度で顔が変わり更生への意欲が非常に高くなるということです。現に,少年院の中では高卒認定試験を受けることができるのですが,平成26年度は少年院での同試験の受験者の約半数が8科目全部合格であったそうです。小田原少年院の平均入所期間が約1年ほどであることも踏まえると素晴らしい成果です。また,少年院の中で,溶接やフォークリフトの資格を取得する者も多いそうです。
このように,一度は道を踏み外しそうになってしまい少年院に入った少年たちも,更生への意欲がとても強く,あっという間に成長する可能性があるということが分かりました。
また,大正時代に建てられたという施設自体も趣があり,少年たちの運動部の部活顔負けの元気いっぱいのランニング姿を垣間見ることができました。
これから少年事件を担当した際には,少年院送致という決定がでてしまって落ち込んでいる少年に対しても,「そんなに悪い場所じゃないから頑張ってこようよ」と声を掛けてみようと思います。
次は,報徳更生寮についてのお話です。報徳更生寮は,小田原にある更生保護施設です。こちらの施設については,恥ずかしながら私自身小田原にこういった施設があることを知りませんでした。弁護士としては,裁判での判決や処分が下されるところまで被疑者・被告人とは関わりますが,その後関わることはほぼ無かったからです。
この施設は,犯罪をした人たちのうち,頼る人がいなかったり,生活環境に恵まれなかったり,社会生活上の問題があるなどの理由によりすぐに自立できない人を一定期間保護して円滑な社会復帰を助け,再犯を防止するという役割を持った施設です。刑期を満了した人や,仮出所をした人,刑の執行猶予を受けた人たちが入る施設です。
もっとも,刑期を満了した人や執行猶予を受けた人が全員入ることができるかというとそうではなく,施設の方と直接面接等を行う必要があるそうです。
入所者が施設に帰りやすくする心配りとして,門限までは入り口を開放しておくということが印象的でした。
今回の両施設訪問では,ほかでは知ることのできない大変貴重な経験をしました。これからは,今回の経験を踏まえて,より一層弁護士としての活動に励んでいきたいと思います。