平成28年10月27日,おだわら市民交流センターUMECOにて,神奈川県弁護士会県西支部と小田原市地域包括支援センターとの合同事例検討会が開催されました。
地域包括支援センターとは,高齢者の方々が,住み慣れた地域で,御自分らしい生活を送れるよう,介護,福祉,医療,健康づくりなどについて,社会福祉士,保健師(または経験のある看護師),主任介護支援専門員などの専門職が相談に応じ,高齢者やその家族の方々を総合的に支えるよろづ相談窓口で,平成28年度時点で小田原市内地域ごとに8つのセンターが置かれています。
この合同事例検討会は,平成25年から年1回のペースで開催されており,今回で4回目となりました。
今回の事例検討会には,県西支部の弁護士が22名,小田原市高齢介護課の職員が2名,小田原市内8つのすべての地域包括支援センターから,社会福祉士等26名が参加し,弁護士と地域包括支援センターの参加者の混成による6班に分かれ,それぞれ今回のテーマとなる事例について,検討を行いました。
今回の検討会では,詐欺被害を受けたと思われる高齢の方の事例が取り上げられました。詐欺被害と思われる具体的な内容は,自分の年金を担保にお金を借り入れ,借入金の大半を知人男性に渡してしまい,現在,生活費や借入金等のため生活に困窮しているというもので,この方自身,身寄りがなく独居であったため,当時,表面的にでも親身に接してくれていた知人男性を全面的に信用し,このようなことをしてしまっていたようです。
各班それぞれにおいて,弁護士としてあるいは地域包括支援センターとして,このような高齢の方に対し,どのような支援が可能か等について検討され,各班ごとにユニークな検討内容が発表されました。
事例検討の中では,どのような法律や法的手段を駆使したとしても,一旦,詐欺などの被害にあってしまうと,その被害回復を実際に図ることが極めて難しいケースもあるなどの問題提起もなされ,また,詐欺被害にあう前に事前に防止することが重要であり,弁護士や地域包括支援センター,市町村などが協力して,独居老人を孤立化させず,詐欺被害などの情報が共有できるような体制を整えることが望ましいのではないかなどとの意見も聞かれました。
今後も,私たち県西支部の弁護士は,地域包括支援センターとの連携を一層強化して,県西地域にお住いの皆様のお役に立てる仕組作りを考えていきたいと思っています。