平成30年4月21日、藤沢市内で、関東弁護士会連合会第13回支部交流会が開催され、県西支部から7名が参加しました。支部交流会は、関東弁護士会連合会(*1)の中の各裁判所支部(*2)の管轄地域に属する弁護士の地域司法(*3)への問題意識を高めるとともに、各支部にある問題の情報共有と意見交換の集まりです。
今回の支部交流会では、長野県の佐久支部では庁舎が2階建てであるにもかかわらず、エレベーターが設置されておらず、裁判所の職員が身体の不自由な方を車いすに乗せて階段の昇降をしていること等の報告がありましたが、県西支部に関連性の強いテーマとしては、地裁支部における労働審判(*4)の実施について意見交換がなされました。
労働審判は地裁本庁で実施されていますが、労働審判を実施している地裁支部は、小倉支部(福岡県)、立川支部(東京都)、浜松支部(静岡県)、松本支部(長野県)及び福山支部(広島県)の5支部です。このうち、浜松支部、松本支部及び福山支部は、平成29年4月から実施されています。地裁小田原支部では実施されていませんが、実は、地裁小田原支部も実施する候補に上がっていたのです。労働審判の実施支部の拡大については、最高裁判所と日本弁護士連合会とで協議が行われ、当初、29支部が候補として上げられ、地裁小田原支部も含まれていました。しかし、協議の過程で10支部に絞られたときに、残念ながら、地裁小田原支部は外されました。労働審判を実施している本庁への交通事情(所要時間)、実施した場合に予想される事件数の関連で当該地域にある労働局の労働相談数等を考慮して、10支部に絞られたと考えられます。
今回の支部交流会の中で、地裁小田原支部の管轄内の労働局(小田原、厚木、平塚)の相談数の合計は2000件以上で(*5)、この数字は既に労働審判が実施されている静岡地裁浜松支部の管轄地域の労働相談数に匹敵すると指摘されました。
今後は、小田原、厚木、平塚の各労働局の相談件数をしっかりアピールし、次の労働審判の実施支部の拡大のときは、地裁小田原支部での実施を目指していかなければなりません。
*1 東京、第一東京、第二東京、神奈川県、埼玉、千葉県、茨城県、栃木県,群馬、山梨県、長野県、新潟県、静岡県の各弁護士会が属する連合会
*2 各都道府県に対応して地方裁判所及び家庭裁判所があり(神奈川県では横浜地方裁判所・横浜家庭裁判所)、本庁のほか支部が設置されています(神奈川県では、川崎支部、相模原支部、横須賀支部、小田原支部(弁護士会県西支部があります。)の4つの支部が設置されています)。
*3 裁判所の支部においては、本庁で扱う事件のすべてを扱ってもらえるわけではありません(例えば、神奈川県の相模原支部では、裁判員裁判、合議制(裁判官が3名による合議)の事件、労働審判、行政事件を扱っていません。)。このような状態を認識し、改善に向けた活動を地域司法といいます。
*4 平成18年から実施されている労働審判は、簡単にいうと、原則3回で労働紛争を解決してくれる制度です。裁判官だけではなく、労働者側、使用者側1名ずつの労働審判員も審理に参加します。
*5 ただし、厚木労働局の管轄は、愛甲郡、厚木市、海老名市、大和市、座間市、綾瀬市ですが、このうち地裁小田原支部の管轄は、愛甲郡と厚木市のみです。