令和5年10月27日、元仙台家庭裁判所長である秋武憲一先生を講師にお招きし、離婚事件研修会を当支部にて実施しました。
秋武先生は、退官後も離婚事件に関する書籍の執筆や、法科大学院にて法曹養成教育にも携わっておられます。昨年に引き続き秋武先生をお招きし、今回で4回目となる研修会には、多数の支部会員が参加しました。
今回の研修会のテーマは、「養育費」についてでした。
養育費とは、未成年の子どもが生活するために必要な費用をいいます。離婚後、親権者となった父又は母は、子の監護に要する費用として、親権者にならなかった父又は母に養育費を請求することができます。養育費は、子の生活に要する費用ですから、その金額や支払方法について、離婚時にしっかり定めることが重要な意味を持ちます。
秋武先生には、養育費の金額の算定に関し、基本的な算出方法や、弁護士として養育費の算定につき留意すべき点について、ご講演いただきました。
養育費の算定については、簡易な方法として養育費算定表を用いる方法が広く浸透しています。もっとも、養育費算定表は、簡易な算定方法であるがゆえに、統計に基づく標準的な事情を前提としているものです。
本講義では、算定表で考慮されていない異なる事情がある場合には、積極的に立証していく必要がある点、これまでの養育費の算定方法に関する考察の経緯等も含めてお話いただきました。機械的に算定表を使用するのではなく、個別事情に基づき適正な養育費を算定していく必要があると、再認識する契機となりました。
養育費の算定方法を主に、その他にも裁判官としてご活躍されたご経験に基づく裁判所からの視点における考察も含め、今後の業務に大変有益なお話をいただきました。
今後も、本研修会で学んだことを活かし、スキルアップや業務の質の向上に繋げるよう努めて参りたいと思います。