令和8年3月13日、元仙台家庭裁判所長である秋武憲一先生を講師にお招きし、離婚訴訟に関する研修会を当支部にて実施しました。
令和6年に引き続き2年振りに秋武先生に講師をしていただき、離婚事件に関する研修会も通算6回目となります。今回の研修会にも、多数の支部会員が参加しました。
今回の研修会では「離婚訴訟」をテーマとしてご講義いただきました。
訴訟には、財産上の訴えを主とする民事訴訟と、離婚や認知など、夫婦・親子関係についての紛争を解決する人事訴訟があります。人事訴訟は、家庭裁判所を管轄とし、民事訴訟法の特別法である人事訴訟法が適用されることや、人事訴訟の対象となる事件には、まずは話合いでの解決を目指して家事調停の申立てをすべきと規律されている(これを「調停前置主義」といいます。)など、通常の民事訴訟とは異なる点もあります。
弁護士においては、このような人事訴訟法の特色を理解し、離婚事件に関し適切な解決手段の選択を行う必要があります。

また、離婚訴訟の場合は、民法により離婚原因が定められており、訴訟の相手方が離婚の意思を有していない場合には、裁判所に離婚原因を認定してもらう必要があります。そのため、様々な事案において、離婚訴訟となった場合に離婚原因が認められ得るのかを適切に判断することが肝要となります。
本研修会では、このような離婚原因の認定に関しても、元仙台家庭裁判所長のご経験をもとに、詳細にお話しいただきました。
民法で定められている離婚原因の中でも、最も主張され、かつ、判断が分かれやすいものが「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるか否かです。現行民法の考え方では、婚姻関係がもはや修復困難な状況にまで破綻している場合に、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとの判断が確立しています。もっとも、婚姻関係が破綻しているか否かは、評価を含む概念であるため、離婚を請求する側(原告)において、その評価が適切であることを説得的に立証しなければなりません。婚姻関係が破綻していることを外形的に明らかにしやすい事情の一つとしては、夫婦が別居していることが挙げられ、別居期間が2~3年以上に及ぶ場合には、夫婦関係の破綻を基礎づける事情となり得ます。離婚訴訟を提起する場合には、このような離婚原因に関する考え方を基礎として、どのように立証をしていくか、その立証のためにどのような証拠を提出する必要があるのか、判断する必要があります。

本研修を通し、離婚訴訟の基礎に立ち返るとともに、元裁判官としての知見に基づくお話により、日々の業務に活かすことができる多くの学びを得ることができました。
秋武先生よりご講義いただいたことで、支部会員にとって、離婚訴訟の基本について改めて理解を深めることができる、大変有意義な研修となりました。
今後も当支部では、会員の実務力向上に向けて、研修の企画に努めてまいります。
以上