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弁護士コラム

6
August
2015

災害法制について -「入山規制」って何?-

執筆者 : 古谷 泰宏

平成27年6月30日,箱根大涌谷の噴気口からごく小規模な噴火が起きた。静穏を保ってきた箱根山にとって有史以来の初めての噴火となった。

我が国は古来より幾多の災害に見舞われてきた。数多くの火山が点在し,しばしば噴煙や粉塵をまき散らす。豊かな自然もときには猛威をふるう。豪雨によって水害や土砂災害が引き起こされる。毎年シーズンになれば台風が襲来し,大雨や高潮をもたらす。地震などは二十一世紀に入って以降,日本を震源とするマグニチュード7以上のものだけで実に32回も起こっている。自然災害だけではない。東日本大震災において原子力発電所の事故が起こり,緊急非常事態宣言が発動されたことは記憶に新しいであろう。

このような災害時の非常事態に備えるために,災害対策基本法という法律を中心として数多くの法律や条例が制定され,それに基づき災害予測や対策が取られる。

災害のおそれがある場合に注意喚起をするものとして,気象庁が出す警報がある。たとえば,大雨のときには大雨注意報や大雨警報などの気象警報,地震のときは,緊急地震速報,津波警報などが出される。火山の場合には,それは噴火警報という形になる。生命に危険を及ぼすような噴石や火砕流が届くことが予想される範囲に応じて,段階的になされる。火口周辺のみ危険である場合にはレベル2の火口周辺規制,火口周辺を超えて危険がある場合にはレベル3の入山規制となる。箱根の場合は,現在レベル3である。

また,市町村長などから居住者らに対して避難の勧告や避難の指示が出されることがある。自主的な立ち退きを促す勧告,立退義務のある指示という違いはあるが,両者とも強制されるわけではない。これを超えて立ち入り禁止を強制すべきときは,警戒区域が設定される。無断で立ち入った場合には10万円以下の罰金などが科される場合がある。現在,大涌谷噴煙地から約700メートルの範囲が警戒区域に指定されており,事前届出制となっている。

いたずらに不安になることはないが,正しい知識と知見をもとに適切に対処していく必要があるだろう。(注:情報は執筆時のもの)

執筆者情報

弁護士名 古谷 泰宏
事務所名 丹沢法律事務所
事務所所在地 〒257-0051
神奈川県秦野市今川町2-15リバーサイド小泉203
TEL 0463-74-4130
FAX 0463-74-4131
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