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弁護士コラム

1
August
2016

城めぐり

執筆者 : 大木 孝

幼い頃から、父母や叔父叔母に連れられて、小田原城址公園にかつてあった動物園・遊園地によく行きましたが、子供心に、見上げるお城の大きさにいつも驚いていました。(アルバムに、象の梅子を背景にしたスナップも残っています)

趣味の城めぐりが始まったのは、実は今からおよそ十年前。
司法研修所の刑事弁護教官を務めた時、実務修習のため全国に散らばった司法修習生に対する出張講義で現地に赴いた折に、空き時間に地元のお城を訪ねたのがきっかけでした。
初年度は、名古屋と福井のクラスを受け持ったので、尾張名古屋城と越前丸岡城。
以降これまでの間に行った城は、犬山城・金沢城・彦根城・長浜城・大阪城・姫路城・大分府内城・岩国城・広島城・鹿児島城・土浦城・佐野城・松本城・岡山城・米沢城・備中松山城・清州城などです。
西国が多いのは、3年間で受け持ったクラスの多くが西日本修習だった影響ですね。

城歩きで面白いのは、大手門から天守を目指すときは城攻め、天守閣に登ってからは今度は守りに切り替えて、戦国武将になったつもりで、ここから攻めるとか、こうして守るなどと妄想を逞しくして動くことです。
そのためにも、基本的な城作りの知識が必要です。 
例えば、城の種類は、山城・丘城・平山城・平城・水城などがあり、堀にも水堀・空堀・障子堀など。石垣の前は、土塁で済ませていたらしいとか。
少しばかり勉強しました。

ところで、日本のお城には、西洋の城(例えば華麗なノイ・シュヴァン・シュタイン城)にはない独特の哀愁が漂っていて、過ぎ去った歴史の陰に隠れ、黙ってひっそりと佇む姿が美しく、「荒城の月」「千曲川旅情の歌」「古城」などの名曲を生んだのでしょう。その意味でも、巨大な近世の平城よりむしろ、小さな戦国時代の山城の方が情趣があっていいですね。
では、私のお気に入りベスト3を紹介しましょう。

第3位:越前丸岡城(別名「霞ケ城」)
柴田勝家の甥勝豊が築いた平山城で、五角形の内堀に浮かぶ二重三階の天守。
昔、大蛇が現れて霞を吐き城を隠したという伝説から、この別名が生まれたとされます。加工されていない石をそのまま使った粗い石垣や、質素な板塀が、いかにも質実剛健の時代背景を表す城です。
現存最古の天守と言われますが、犬山城説もあるようです。

第2位:尾張犬山城(別名「白帝城」)
織田信長の叔父信康が築いた小高い丘陵に聳える山城で、背後の北西部が、天然の水堀としての木曽川に面した切り立った崖で、「後ろ堅固の城」とも呼ばれています。
三重四階の望楼付き天守の均整の取れた姿は風情があり、後の模範ともなったようです。

第1位:備中松山城(別名「もう一つの天空の城」)
鎌倉期の秋葉氏が築城したと伝えられる現存する最標高の山城で、天然の巨岩巨石を利用し、その上に石垣を積み、その上に天守閣を建てているのが素晴らしいですね。

昨年、日弁連のシンポの後、岡山の教え子弁護士がわざわざ車を出して案内してくれました。よく見ると、現在放映中のNHK「真田丸」のオープニング映像にも使われていますね。

早朝に近くの高原展望台から見ると、雲海に浮かぶ幻想的な天空の城となって見えるそうです。

さあ、皆さんも、まずは近くのお城から攻めてみましょう!
DVDなら「司馬遼太郎と城を歩く」がお薦めです。

最後に…
あるアンケートで日本最強の城ベストワンに輝いた熊本城が、このたびの大震災で石垣が崩れ屋根瓦も落ちるなど、その光景は熊本市民ならずとも涙を誘いました。
あの飯田丸五階櫓をどうにかぎりぎりで支えている角の石垣、その健気な姿を見て、思わず石垣に対して「頑張れ」と叫んでしまったのは、私だけではないはずです。
嬉しいことに、小田原城をはじめ全国のお城から支援金が届けられたそうですね。今後何年、何十年かかろうとも、何とか復旧してもらいたいものです。

執筆者情報

弁護士名 大木 孝
事務所名 杉﨑茂法律事務所
事務所所在地 〒250-0012
神奈川県小田原市本町2-3-24 青色会館2階
TEL 0465-24-1860
FAX 0465-24-1806
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