執筆者 : 池田 忠正(忠山)
大変ありがたいことに、これまで、役目柄、行事参加のために出張したことが多かった。そのたびに、できるだけ、公式観光を含め、行事の翌日を旅先の観光めぐりに充て、各地の自然と歴史に触れてきた。
その行事とは、大まかに、平成14年度は会長として各種大会に、平成20年度は関弁連理事長として十県会訪問や、ブロック弁連大会に、また、会長退任後は、副会長5人と共に、一昨年まで、人権大会、日弁連総会、関弁連大会などにかこつけて、更には、毎年2回の民暴対策大会などがそれである(今年7月の民暴対策大会は、金沢で行なわれたが、それは、昨年就任した公益財団法人神奈川県暴力追放推進センター理事長の立場で、はじめて参加した。)。
仕事以外には、地元の奉仕団体の仲間との年4、5回の「歩こう会」というミニトリップや、俳句仲間との年5、6回の吟行会などがある。
妻と共に「歩こう会」のミニ登山
それぞれ各地の自然と歴史に触れることで、自ずと俳句の句材がストックされ、17音の調べが詩となって、俳句のかたちに生まれることになってゆく。その場でかたちになることもあれば、その後、数週間後、数か月後、更には、同じ季節がめぐる1年後または数年後に、ようやく納得するかたちに成り立つこともある。
そして、そのように、五官と五感をめぐらす時間と空間の中に、浮かび、かつ、蘇える光景には、どこか懐かしい季節感に支えられて、飽きるということがない。時の経つのにも気づかない。
ところで、カメラによる画像は時間が停止するが、俳句は、過去を含め、1日の時間や、歳月の時の移ろいまでも映し出す。絵画にも言えることかも知れないが、俳句は、しっかりとした写生が基本である。そこに少しだけでも抒情が滲めば味わいが加わる。その証しとなっているかどうか、甚だ心許ないが、さしあたり、10句を掲げてみたい。各地を示す固有名詞は消してあるが、季節感さえ共有して下さるのであれば、詠まれた場所の詮索はどうでもよく、読者の読みと想像におまかせしたい。俳句は発表された途端に、たちまち、ひとり歩きしてゆくのを、作者は止めることができないからである(なお、カッコ内は、参考として、季語と季節を記した。また、俳句は、古来から縦書きがいのちであるから、興味のある方は、縦書きに直して1句を眺めてみることをお勧めする。きっと違った感触や風景に気づくに違いない。)。
ここからは宣伝めくが、小田原が生んだ偉大な俳人「藤田湘子」を記念して、全国規模の第2回俳句大会が、下記のとおり、開催される。藤田湘子は、水原秋櫻子門下で、50年ほど前に全国規模の俳句結社誌「鷹」を創刊した(代表句の一つ〈愛されずして沖遠く泳ぐなり〉は、小田原市南町の小田原文学館に、その句碑が建っている。)。この大会の第1回は、没後10年を記念して2年前に開かれたが、小田原市民会館大ホールを埋め尽した。後継主宰は、今を時めくサラリーマンの小川軽舟(最近の代表句に〈死ぬときは箸置くやうに草の花〉がある。)である。大会の主催は、小田原市、「鷹」、小田原俳句協会の三者。小生も、軽舟らと共に、事前投句(2句に限る。)の選者5人のうちの1人になっているので、興味のある方はご応募を。投句用紙つきのパンフレットは、小田原駅徒歩3分の「UMECO(ウメコ)」入口脇に置かれているので、それをご参照。
記
(第2回藤田湘子記念小田原俳句大会)
〇日時 平成30年4月14日(土)午後1時(投句締切日は同年2月11日)
〇場所 小田原市民会館大ホール
熱海の薔薇園にて
さて、最後に、それでは日常の仕事はどうしているのか、と問われそうなので、白状する。心も、頭の中も、かける時間も、さしずめ、仕事5割、俳句5割といったところであるが、74歳の今、これからはどうなってゆくであろうか。
園遊会にて
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