弁護士コラム

　世界文学全集というと、『戦争と平和』『罪と罰』などの超有名作が複数巻にわたり収録されるようなイメージがありますが、池澤氏が編集した上記全集は、20世紀発表が中心となる、比較的新しい作品かつ1冊に収まる分量の作品で構成されています（中には二段組みで無理やり1冊にまとめた作品もありますが）。これらは、基本的には、従来の世界文学全集に収録されてこなかった作品群です。

　全集の第1巻である、ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』を読んでいただければ雰囲気が掴めると思いますが、いわゆる「古典」といったイメージを払拭する方向性が伝わってくるような構成になっています。また、解説や作者年表も充実していて、1冊読むごとに、作者の他作品や、関連作品への読書意欲が湧いてきます。「文学作品に興味があるけど、どこから手をつけてよいかわからない」という方に、特におすすめしたい全集です。

　ところで、仕事上、文章を書くことが多いため、読書体験を活かした、格好のよい表現を使いたい、と思うことがよくあります。残念ながら、語彙が乏しく、定型の表現ばかりを使ってしまい、これまでのところ、活かせたためしはありません。文学作品には法廷シーンが多く登場し、感動的な弁論が行われることもありますので、いつか参考にして、読み手や聞き手の心を動かせるような文章を書いてみたいと思います。