弁護士コラム

　私はもともとIT分野には明るくなく、その目覚ましい技術の発展に全く追いつくことができずに（追いかけようともせずに）おります。

　そんな私ですが、事務所を開業するにあたり、データの喪失等のリスク管理や業務の効率化を図るべく、情報管理や情報通信について検討する機会を得ました。そこで、今回のコラムでは、私なりに検討して当事務所で導入してみて「こりゃ便利！」と感じている機器や機能をご紹介したいと思います。
　なお、以下に紹介する内容は、ITに詳しくない私の経験談に過ぎませんので、参考程度にご覧いただければ幸いです。

　弁護士業界では裁判に関する書面のやり取りの多くはメールではなく未だにFAXを使用しているため、事務所にFAXを設置することが不可欠です。
　ただ、FAXを設置していると、業者からの広告が多数入りますし、弁護士会からのお知らせなども少なからず送られてきます。これらの受信したFAXの全てが紙に印刷されることは無駄が多く、ストレスを感じていました。

　そこで私が導入したのは、複合機^※１にもともと備わっていた「FAX to Email送信」という機能でした。
　これは、受信したFAXをPDFファイルに変換して、予め設定しておいたメールアドレスにEメールで転送するという機能です。
　※１　当事務所で使用している複合機はブラザー製のMFC-J6983CDWです。

　私が眠らせていたこの機能の活用により、FAXの印刷の要否を選択できるようになり、（金額的には僅かでしょうが）紙代や印刷代、紙ゴミの削減につながり、上記ストレスを解消するに至りました。
　また、副次的な効果として、受信したFAXが自動的にPDFファイルに変換されるため、大事な内容のFAXを自身でデータ化して保存する手間を省くことにつながりました。
　さらに、FAXがメールで転送されるため、携帯電話でもFAXの内容を確認することが可能となり、「休日だけど大事なFAXが来ているはずだから事務所に確認しに行かなきゃ」といったことは一切なくなりました。

　私たち弁護士の仕事の多くは書面作成であり、過去に作成して集積した書類や書式のデータは極めて大切な財産です。そのため、それらのデータがPCの故障等で消失することがないよう、データの保存先には気を遣います。
　当事務所ではPCで作成するデータをPCではなく、NAS^※２という機器に保存しています。

　一般的にハードディスクはPCに内蔵されていたり、USBで接続したりして使用するものが一般的ですが、NASはLANケーブルを使用してルーターと繋ぎ、ネットワーク上で接続することができる記録装置です。

　NASはその仕様にもよりますが、当事務所で導入しているのはNAS内に2つのハードディスクが入っており、一つのハードディスクにデータを保存すると、もう一つのハードディスクに同じデータのバックアップが自動的に取られるようになっています。
　さらに、私はマイクロソフト社が提供しているクラウドサービスの「ONE DRIVE」を利用しているため、開業前から、NASに保存したデータをONE DRIVEにもバックアップして、NASが故障してNAS内のデータが消失した場合にも備えることを検討しているのですが、諸般の事情により未だ実現できておらず・・・。

　また、NASはネットワーク上で接続することから、事務所内のネットワークに接続している複数のPCからアクセスすることができます。そのため、事務所内の複数のPCでNASに保存されたデータを共有することが可能となります（利用者に応じてアクセス制限をかけることも可能です。ちなみに、コラムを執筆している令和2年2月現在、事務所メンバーは私一人のため、この機能を持て余していますが・・・。）。

　さらに、NASは事務所の外からもアクセスすることが可能なため（セキュリティー対策のため、パスワード設定は必須です。）、インターネットに接続してさえいれば、自宅や出先からでもNASにログインして、NAS内のデータを引き出すことができます。これにより、事務所外で作業する際に必要なデータをいちいちUSBメモリに移して・・・といった作業は不要となりましたし、仕事場が事務所に限定されなくなり、夜遅くまで事務所に残っていなければ仕事ができないということはなくなりました。
　※２　当事務所で導入したNASはSynology製のDiskStation DS218jです。これに3TBのHDDを2個取り付けています。

　以上のFAXとNASは比較的安価で簡単に導入できた割に、業務効率を上げ、仕事環境を大いに改善することにつながりました。
　以上、当事務所の便利なツールのツートップのご紹介でした。
　ご興味が湧いた方はぜひお試しあれ！
　（業者の回し者ではないです。念のため。）

以上