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県西支部の活動

前高等裁判所長官による講演会を実施しました

 平成30年5月11日、小田原お堀端コンベンションホールにおいて、神奈川県弁護士会の川崎支部、横須賀支部、相模原支部と当県西支部の4支部の共催にて、約37年にわたり裁判官を務められ、仙台高等裁判所長官や司法研修所刑事裁判教官などを歴任された河合健司弁護士による講演会が行われ、各支部から総勢約70名の弁護士が参加しました。当支部では、各弁護士の知識・技術の向上を目的として、様々な研修会や講演会を実施しておりますが、今回の講演会もその一環として開催されたものです。

 河合弁護士からは、主に痴漢冤罪事件における弁護活動のポイントについて、高等裁判所で刑事裁判官を務められたご経験を踏まえ、第二審である控訴審を担当する裁判官の視点から、具体的なエピソードも交えながらお話しいただきました。痴漢の否認事件(被告人が痴漢行為を否定している事件)では、そもそも痴漢行為があったのかどうかという点(電車の混雑や揺れで手やカバンが触れてしまっただけではないのか)や、被告人以外の人物が真犯人なのではないかという点が、裁判での争点となります。これらの事件の裁判では、被害者の供述の信用性を検討することが主題となり、例えば防犯カメラなどの客観的証拠と整合しているか、弁護人の反対尋問により証言が揺らいでいないか、供述が一貫しているか、などの点を審理します。特に最後の点については、警察や検察での聴取において、捜査官の誘導がなされ、被害者としても本来の記憶・認識と異なる供述をしてしまっている可能性もありますので、弁護人としても慎重かつ緻密に調書や証言を分析する必要があります。河合弁護士からは、実際にご自身が担当された裁判を題材に(当事者等の情報は抽象化するかたちで)、どのような点に供述の変化が見られるのか、またそれが結論にどういった影響を及ぼすのかなどについて、具体的に解説していただきました。

 この度の研修は、裁判官出身の弁護士による裁判官の視点からの講演であり、出席者にとり極めて有意義なものとなりました。出席した弁護士は、今回得た成果を十分に発揮し、公正な刑事裁判のさらなる発展に尽力することが期待されます。

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