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県西支部の活動

元仙台家庭裁判所長による離婚事件研修会 Vol.3

 令和4年10月28日,元仙台家庭裁判所長である秋武憲一先生を講師にお招きして,離婚事件研修会を当支部にて実施しました。
 秋武先生は,裁判官を退官された後も精力的に活動されており,現在は多数の離婚事件に関する書籍を執筆されている他,後進の裁判官や家事調停委員,法科大学院生等に向けてご講演をされております。
 秋武先生を当支部にお招きするのは今回で3回目であり,前回の令和元年7月26日から実に3年ぶりに実現したものでした。
 もともと当支部では,秋武先生をお招きしての研修会を毎年の恒例行事とすることを企画していたものの,昨年,一昨年は,いわゆる新型コロナウィルスの流行により実施を断念しており,今回は満を持しての開催とあって,当日は多数の支部会員が研修会に参加しました。

 今回の研修会のメインテーマは,“面会交流”についてでした。
 面会交流とは,一般的に,離婚等によって子どもと離れて暮らしている父母の一方が子どもと定期的,継続的に,会って話をしたり,一緒に遊んだり,電話や手紙などの方法により交流することを言います。
 もしかしたら一般の方にはなかなか聞き馴染みのない言葉かもしれませんが,離婚事件に携わる私たち弁護士にとっては毎回非常に頭を悩ませる問題です。
 両親が離婚等によって離れて暮らすようになった場合,離婚後の両親の関係が比較的良好な関係が保たれている場合には,面会交流の問題に関しても,両親間で比較的容易に合意することが可能なのですが,離婚事件の多くの場合,残念ながら両親の関係が良好であることは稀であり,子どもとの面会交流に関して両親間で意見が対立することがしばしば生じるのです。
 また,面会交流は,日本においては,父母の権利としてではなく,子の福祉の観点から検討されるべきものとして整理されており,このような考え方は,現在の家庭裁判所における実務においても採用されています。
 したがって,仮に父母がいくら子どもとの面会交流を望んでいたとしても,子の福祉の観点から,当該父母との面会交流を実施することが望ましくないと考えられるような場合には,子どもとの面会交流が認められなかったり,仮に認められたとしても、その方法や頻度等が制限されてしまうことが生じ得るのです。
 秋武先生には、面会交流に関する問題について,法理論的なお話に留まらず,過去から現在に至るまでの判例や家庭裁判所実務の帰趨についてご講演いただきました。
 このような秋武先生のご講演は,面会交流の問題について日々頭を悩ませている私たち弁護士にとって,非常に示唆に富むものでした。

 また,2時間強にわたった講演終了後も,秋武先生には引き続き懇親会にご参加いただきました。懇親会では,私たちとの意見交換や議論等に応じていただき、大変ありがたく感じております。
 今後も当支部では,このような研修会を定期的に実施し,地域の皆様に質の高いリーガルサービスを提供できるよう日々研鑽して参りたいと思います。

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