神奈川県弁護士会には、子どもの権利を守るための子どもの権利委員会があります。今回、支部会員の活動報告ということもあり、私が現在部会長をさせていただいている学校部会の活動についてご紹介させていただきます。
学校部会は、名前のとおり、学校問題を扱います。
学校問題と言えば、子どもの「いじめ問題」が主なトピックになるかと思います。
平成25年に「いじめ防止対策推進法」が施行されて以降、「いじめ問題」は、世間から注目を集めるようになりました。この法律が定められたことにより、いじめ重大事態(同法28条)になれば、学校設置者(公立なら自治体)は、第三者委員会での調査を原則としてすることになり、その第三者委員会で調査等をする弁護士の派遣要請が弁護士会にきます。学校部会は、主に学校問題を扱うその専門性から、部会員の中から調査経験や利益相反の有無等を踏まえて、要請のあった自治体等に弁護士を派遣します。
また、近年ではスクールロイヤーという言葉も耳にするようになったかと思います。子どもの権利を守るために、学校や自治体からの相談を受ける弁護士です。従来の顧問弁護士はあくまで、相談者(依頼者)の利益を守るのを一番として考えるのですが、スクールロイヤーは、学校に関わる子どもの利益を一番にして、相談等に応じるのが特徴です。自治体からの要請に応じて、スクールロイヤーになる弁護士を派遣するのも学校部会の仕事です。
さて、いじめの第三者委員会もスクールロイヤーも、子どもの権利への知見、学校問題に対する知見が弁護士に求められます。そのため、学校部会で会員向けに研修をするのも部会の仕事です。最近では、第二東京弁護士会の先生をお招きして、「学校交渉」に関する研修を行いました。
直接、私たちが子どもたちと関わることの例としては、学校にて、弁護士による「いじめ予防授業」を行うことがあげられます。
実際に神奈川県で裁判になった事例を用いて、子どもたちに「いじめ」の怖さ、それを防ぐにはどうすればいいのかを考えてもらう授業です。元々、別の事件で第二東京弁護士会が始めたものですが、神奈川県独自のものを作りたいと当時の学校部会で盛り上がり、8年ほど前に作りました。私も、この授業を作るのに携わっており、過去には、授業の様子などがタウンニュースなどにも取り上げられたことがあります。
タウンニュース(https://www.townnews.co.jp/0607/2018/03/03/422109.html)
私は、令和2年度から、学校部会の部会長に就任し、貴重な経験をさせていただいております。「子どもの人権を守るんだ」と、日々言っておりますが、なかなか思うようにいかないのも事実です。
ですが、まだ弁護士を始めて10年の私です。ベテランの先生方も日々悩み、奮闘している姿を見ています。これからの子どもたちのために、私一人ができることは限られています。なので、自分自身の勉強だけでなく、この子どもの権利委員会の活動に共感し、一緒に活動してくれる仲間を増やしていくことも、大事なことだと思っています。
何か、この記事をきっかけに、これからの子どもたちのためにできることをほんの少しでも考える機会になれば嬉しいです。
子どもの権利委員会
学校部会 部会長
弁護士 田代 宰