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弁護士コラム

28
September
2015

戦後70年を振り返って

執筆者 : 赤塚 健

今から70年前の昭和20年(1945年)8月15日正午、昭和天皇の玉音放送をラジオで聴き入っていた私は、瞬間的に「生命の危機から免れた」との安堵感に似た喜びの感情が湧いて来たことを鮮明に記憶している。

当時の日本は、各地で連日米軍機の空襲を受け、米軍の沖縄に続く日本本土上陸が間近に迫っているとの情報が流れ、全土が極度の緊張状態にあった。旧制中学2年生であった私も、連日の如く空襲により防空壕に避難する日常生活を送っていたので、そのような生活から解放されるとの思いが強かったのではないかと憶測している。

戦後生まれの方は、生まれながらにして、自由・平和・民主主義をたっぷりと享受して成育して来られたと思うが、私のように、少年時代は「絶対」と信じていた「軍国主義」が、終戦により全面否定され、「戦争放棄を定めた新憲法による自由・平和・民主主義を基盤とする日常生活がすべて」として、当然の如く尊重される社会が形成されるとの喜びで一杯であった。

大学を出て、一時期サラリーマン生活を送った私は、生まれ育った環境(父は弁護士)に染みついた法曹という職業に就く破目になり、検事、公証人を経て、70歳にしてはじめて亡き父の職業を継ぐことになったが、その間共に子育てをし、親の義務を果たした結婚生活50数年を経た妻からは「今が一番輝いている」等とおだてられ、東京の自宅から平塚の事務所まで毎日通勤(11時出勤)している。これもすべて「健康」に恵まれていたからに他ならず、親、ひいては先祖に感謝あるのみである。

本年は、戦後70年の節目の年に当たるとして、マスコミ等が賑々しくとり上げている。本年3月シドニーから横浜港に向けてのクルージングで、戦時中日本軍が一時期上陸・占領した「ラバウル島」に寄港して、洞窟、飛行場跡等を見学したが、戦争の傷跡等を見るにつけ、今日の平和・自由の尊さを実感し得たことは誠に幸いであった。

しかるに最近、法曹界では戦後一貫して集団的自衛権の行使は違憲とされていた確定的な法解釈が国際情勢の変化を理由に政府によって合憲とされて、これに関連したいわゆる安保整備法案の成否が取り沙汰されているが、戦時を体験した1人として大変違和感を持ち、日本の将来はどうなるのだろうかと一抹の不安を感じる今日この頃である。

最後に人生の先輩面をして一言。「健康年齢」こそ年齢にふさわしく、健康の基は「食事と適度の運動」である。また、人間の最も大切な生活信条はと問われれば、それは「恕(じょ)」(思いやり・孔子の言葉)である。恕は法曹に限らずどんな職業にもあてはまる共通の真理ではないかというのが私の結論である。
(注:安保整備法案に関しては執筆時の状況)

執筆者情報

弁護士名 赤塚 健
事務所名 赤塚総合法律事務所
事務所所在地 〒254-0042
神奈川平塚市明石町13番25号吉田ビル2F
TEL 0463-20-4658
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